そういうわけで、赤羽貴族ひろゆきのYouTube放送についてまた気になることがあったのでコメントしておきます。


「民主主義はオワコンかも…」



まあ、端的に言えばこの発言は第二次大戦前に流布された「マルクス経済学的世界観」の残り香に過ぎません。

「自由や資本主義は限界に来ており」人類の次の段階は「計画主義(統制主義)、共産主義である」という、「未来は共産主義」というフレーミングですね。

(「計画主義」がなぜ必然か?というと、資本主義→共産主義(コミュニズム)が必然とすれば、広大な地域にいる人々を餓死させていくか?

それとも社会・市場の代わりの調整装置を構成するかしかありません。

共産主義→基本的には「社会」を否定しそれ以前の「村(コミュニティ→実際コルホーズやソフホーズが建設されました)」に戻すという運動ですから、社会や市場(資本集約を伴うような)というものは認められないわけです)

結果としてこの運動が失敗したことは皆さんご存知のとおりです。

「共産主義の成功と失敗」



共産主義の成功、つまりソ連を中心として一時世界の半分を手に入れたことですが、これは彼らの戦略の優秀性から来ています。

既存の社会の問題にフォーカスし(グローバル経済や資本主義の歪みはむしろ第一次大戦前のほうが大きかったと思われる事例はたくさんあります)、それを正せる解決策として共産主義を位置づけ、それを多くの知識人の頭の中に植え付けたことです。

現在中国共産党はこれを「制空戦」とおなじように「制脳戦」と読んでいますが、基本的には同じことです。

高度な情報戦で「脳の中」を支配する方法を共産主義は進めてきました、これこそが彼らの成功の秘訣です。

で、問題は「様々な問題や、人類が進歩してきた事」は事実ですが「次の答えは共産主義」というのはただのフレーミングに過ぎませんでした(ただ良い陰謀というのはこういう風に今までのプロセス(点)を「絵に」するところに妙味があります、「振り返って絵にする」のはジョブズの専売特許ではありません)。

まあそもそもが「マルクスの思い込み」が共産党宣言なわけで、それが「たまたま人類の苦悩への究極の答えである可能性」はほとんどゼロに決まっています。

市場や社会を代替する機構は現実には生み出すことができず、単なる腐敗した(今のロシアと同じように油価で経済が浮沈する)石油輸出国になってしまいました(ドバイやサウジアラビアが「歴史的な成功国家」であるとはちょっとみなせないでしょう)。

石油のアガリを配分する程度の統制はできても一握りのエリートの統制では、無駄の多いはずの市場を上回る活力も効率も実現することができなかったのです。

さらには石油など天然資源がない国では全くお話にならず、「知識層の虐殺」など、単なる悲劇をもたらしました。

「マイルドな全体主義、国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス)」



ちなみに「調整の問題ではないか?」という疑問に答えるために紹介したほうがいいもう一つの全体主義国家がナチスです。

僕たちは「ナチナチ」と呼んで本来の意義を忘れて「日本と同じような軍国主義国家」と考えてしまいますが、実際にはナチスは「国家社会主義ドイツ労働者党」です。

(ちなみに日本は当時普通選挙も行われる「民主国家」ですが「英米との対決不可避」という認識(そう、認識です)で、「統制派」がすすめるままに『非常事態だ!』と帝国憲法的にもかなり微妙な「国家総動員体制」を作っています……いやー、なんかおかしいですよね)

つまるところ第二次大戦の山場「独ソ戦」は「左対左」の戦いでした。
「個人資産は認めない、ガチの共産主義ソ連」VS「技術や資本は国家が統制するもの社会主義ドイツ」の戦いです。

この戦いの結果が「どちらの勝利」かは判断の難しいところですが、比較的ドイツが優位だったのではないでしょうか?

最終的にはアメリカからの「無限補給」でソ連は息を吹き返しますが、単体であればソ連は……せいぜいシベリアの小国になっていたはずです。

ちなみに今の中国はスタンスとしてはこの「国家社会主義」全体主義国家(ある程度市場や資本を容認するが国家の上に党が存在する統制国家)に近いように見えます……ま、どちらに優位性があっても決定打になったのは「アメリカ」なわけです、ナチス・ドイツはもちろんソ連も崩壊しています。

そして、現在の中国が軍事、経済から科学までどの点でもアメリカに勝利しているとは思えません。

(「今現在の成長率はスゴイ」ですが、これは今の所彼らの革新性が優れているというよりも技術窃盗が上手い(これも戦術としては優れたものです)というふうにしか僕には見えません。

成長期の伸び率で言えば日本だって相当すごかったわけです。

しかし「日本の未来に渡る同様の成功(成長率20%!!)」を約束しなかったことは事実です、キャッチアップ経済(答えはあって再現するだけ)とトップランナー経済(何が答えかを探し出してそこから産業化)では成長の速度はかなり違うのです)

「極端な自由主義国アメリカ」


アメリカが世界のトップランナーオブトップランナーズである理由は正直なぜだかわかりませんが(一つは地政学的な優位にあるのは間違いありません)、他の国々(例えば民主主義国家群のヨーロッパや日本)との違いは「極端な自由主義」でしょう。

そして、皮肉なことに「官僚主義の強い民主主義国家群」ヨーロッパや日本が中国に追い越されようとしている理由はここにあるのではないかと思います。

つまり「民主主義」ではなく「自由」が革新性や国力の増進には役立つのではないかと思えます。
この点で言えばひろゆきの指摘(まあ「かも」にはなっているけど)は正しく見えます。

(中途半端な自由主義と、中途半端な官僚統制主義は国と国民にとってマイナスの結果しか無いということです)


「自由はどこまで必要か?」


「統制国家中国」は今までは既知の「答え」にそって科学者や経営者に「自由」を与えてきました。

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今後「答え」がない世界でも彼らはそれが可能でしょうか?

ま、「指数関数的に成長する世界」とはいっても、どこかで量だけではなく、アーキテクチャ(質)を転換する必要もあるわけですから、そういう時に「必要な自由を全体主義統制国家が用意できるか?」という事が「全体主義」と「民主主義」の価値を決めることになるでしょう。

ギリシャ・ローマ時代を見れば別に民主主義は無敵の国家体制ではないのですが、民主主義が担保する「政府や権威を変化させる自由」がこの場面(答えがない段階)で必要なことは明らかでしょう。

したがって「民主主義はオワコンにはならい」というのが僕の結論です。

(では「どんな自由が無いといけないのか言ってみろ」というのは勘弁してください、それが「賢い俺なら言える」というのはまさに「統制主義」ナチス、ソ連共産党、そして中国共産党の立場で「答えがわからないから自由が必要」というのが僕の立場です)


(……ま、ひろゆきの話について言えば「中国以外の独裁国家が新型コロナにうまく対応した」という事例を聞かないので……台湾?……まあインテリはやっぱりみんなマルクスさんのフレーミングにやられてるよねーっていう結論も可能なんですが(計画経済は統制派官僚になれそうなエリートやその言説の上では人気)、まあそれだとあんまりにも意味がないので歴史の帰結と中国の位置づけに基づいて論を展開してみました)