あるところにバイクがありました、かつては世界一の栄光にも輝いた優れたマシンです。

内部の無数のパーツは滑らかに連動し車体を前にと推し進めます。

あるときこのバイクは運悪く側溝に落ちてしまいます。

日本ではまだまだ多くの元農道の路地があり、その部分には運悪く蓋もかかっていなかったのです。

なんとかバイクを溝から引き上げましたが、なんの不具合かエンジンがかかりません。


折悪く、陽は落ちて季節は冬。

たまに通りかかる人々は「おまえのキックが悪い」だとか「エンジンプラグが悪いに決まっている」だとか「オイルが多すぎる」だとかでイロイロと言われてその通りにしてみてもエンジンはかかりません。

一度などさも自信ありげにマシンをいじっていた男がもう諦めたとばかりに側溝にバイクを突き落とそうとしたのには驚きました、無茶な人がいるものです(とはいえ「そんなバイク捨ててしまえ!歩けば良い‼︎」と怒ったように言う人は沢山いました)。

さっきの男に任せた事で小さな唸りも消えてしまい、ライダーは途方にくれましたが仕方ありません。

さっきまで思い思いの事を言っていた人達も家路につくか、遠巻きに見ています。

自分がすべてを作ったわけでも、すべてを把握しているわけでもありませんが。
もう一度マシンをチェックして、「キック」してみるしかないのです。←いまココな。

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